Her/世界でひとつの彼女

ピエロメイクで世界を震撼させているホアキン・フェニックス主演のSF×恋愛映画
サマンサの声が良い。

【あらすじ】
近未来のロサンゼルス。
セオドアは相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。
長きにわたり共に生活してきた妻キャサリンと別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサと出会う。
次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり……

よくあるAIものと違うのは、この映画に出てくるAIはOSと呼ばれ、完全にソフトウェアの中の存在であるということ。
OSとの会話のためにAirpodsみたいなデバイスは使いますが、OSそのものはボディを持ちません。
ボディを持ったAIとの恋愛映画なら幾らでもありそうですが、この映画では純粋に知能のみの存在との関係を描いているのです。

映画の結末も普通のアンドロイドと人間との関係では成立しえない不思議なものです。
無論人間同士でも同じです。
OSという知能だけのソフトウェアと生身の人間との関係だからこそ描けるストーリーです。
この設定があるからこそSF恋愛映画などという枠には収まらない傑作に仕上がっていると思います。
話が進むにつれて主人公とOSの関係が変化していく様子は恋愛映画でありながらハードSFのように楽しむことができます。

近い未来が舞台なので街の景観やデバイスは現代のものとそれほど変わらず、ビジュアル的には地味です。
しかし画面の中の色使いの美しさには目を見張るものがあります。
主人公のオフィスにも自宅にも必ず差し色があってこいつら洒落乙だな〜と思ってしまいます。
あとホアキン・フェニックスのシャツもお洒落。
原色のシャツをあれほどお洒落に着こなすおじさんを僕は見たことがありません。
ジョーカーにキャスティングされる前からジョーカーカラーが似合ってたんですね。
ぼーっと画面の色だけ眺めてても楽しめる映画です。

知能のある存在との対話がテーマの本作ですが、話を聞いてくれる相手、聞きたいと思える相手がいるというのは大事なことですね。
ジョーカーにもサマンサがいたら…

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