ダークナイト

超真面目にバットマン映画作るとこうなるのか…
クリストファー・ノーランの出世作。
改めて観ると暗いです。

ついヒース・レジャーに目が行きがちですが、仮面の自警市民バットマン、素顔の地方検事デント、最凶のトリックスター・ジョーカーの三者の関係性が何より面白いと思います。
悩める人間ブルース・ウェインがいかにして犯罪に立ち向かうシンボルになったかを描いた前作とは打って変わって、本作では(デントは別ですが)人間らしい葛藤の描写を極力排して、シンボルどうしの容赦無い戦いを描いています。
なんというか敵を倒して終わりのヒーロー映画とはだいぶ趣が違います。

3人の怪人に翻弄されるゴードンや市警本部の面々もフィーチャーされてます。
大っぴらな汚職が無くなった代わりに、隠れた汚職警官と戦わなければならなくなったゴードンが気の毒…

そして今回はゴッサム市民もただのギャラリーではなくメインキャスト級の扱い!
映画のクライマックスはバットマンとヴィランの戦いではなくフェリーのシーンです。
過去の作品でノワールっぽかったりパンクっぽかったりで魅力的なロケーションだったゴッサムシティがただの現代都市になってたのは物足りないと思ってましたが、市民をリアルな登場人物として描くならリアルな都市にして正解ですね。

例によってやたらとポエミーで気取ったようなセリフが多い中でジョーカーの「混沌の本質は公平さだ」は印象的。
ジョーカー関連はかなりご都合主義な点が多いけどキャラクターに説得力があって不思議と気になりません。
ジョーカー以外のところでも割とケレン味たっぷりですが、勢いと映像の迫力でねじ伏せる手腕はやっぱりすごいと思います。
ガジェットしっかりもツボを押さえてて良いですね。
バットポッドがカッコイイ✨

劇映画では初の導入となったIMAXフィルムカメラの映像は素晴らしい!
1作目にしてモノにしてます。
最近はフィルム信奉が爆発してIMAXカメラで撮ることが目的になっている(ように見える)けど、本作ではここぞというところで使ってて丁度いい塩梅だと思います。

改めて全体通して見ると思った以上に重く難しい映画でした。
でもノーラン監督は根はポジティブなヒューマニストっぽいなーと思います。
「幻想を満たさねば」なんて、ともすると虚しく響きそうな台詞を虚しく響かせないのは根アカだからでしょうね。

作家性と娯楽性を見事に両立してます。
12年経っても見飽きない、時の試練に打ち勝つ名作だと思います。

2 comments to “ダークナイト”
  1. ノーランはほんとにヒューマニストだよね。そうでないと映画監督なんてできないのかも。
    インターステラーでも[愛]が正義で押し通したし♥
    そーいうとこが好き。

    • > ノーランはほんとにヒューマニストだよね。そうでないと映画監督なんてできないのかも。

      ノーランと真逆の思想を持ってそうな宮崎駿が未だに現役なのってやっぱり凄いことなんだなぁと思いました笑

      はたしてノーランは80歳まで今のノリで映画を作り続けられるのでしょうか笑

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。