ロケットマン

早くも来週デジタル配信開始だそうです。
エルトン・ジョンの半生を描いた伝記ミュージカル映画🚀

ボヘミアン・ラプソディが陽だとしたらこの映画は陰だと思います。

なんでもかんでも比較するものでもないと思いますが、偉大なミュージシャンの伝記映画ということでどうしても意識してしまいます。
似てるようで全然違う映画なのでどちらが優れているとは言えませんが、実在の人物を扱った映画としてはロケットマンの方が深く心に刺さりました。

決め手は主人公が存命であるかどうか。
フレディは故人なので彼の人生をどこまで赤裸々に描いていいのかは慎重にならざるを得ません。
一方エルトン・ジョンは存命で、映画の制作にも深く関わっています。
エルトンが自身の闇の部分を存分に曝け出すことを制作スタッフに要請したのは想像に難くありません。
ボヘミアン・ラプソディが「フレディ・マーキュリー物語」である一方で、ロケットマンはエルトン・ジョンの自叙伝をミュージカル映画にした、という印象です。

父親との確執、マネージャーとの関係(ボヘミアン・ラプソディでクイーンのマネージャーとして出てくる人と同一人物!)、理解者だと思っていた家族との不和、そしてバーニーとの友情。
どれもこれもどこまで本当のことかは分かりませんが、脚色はあるとしても嘘っぽい感じはしません。
本人が関わっているだけあってかなり赤裸々でどぎつい内容です。
劇中の曲はどれも素晴らしいですが、エルトンの人生に起きるどんな出来事も曲に負けず劣らずドラマチックかつリアルで心をえぐられます。

主演のタロン・エガートンの演技は白眉もの。
単なる物真似に終わっていません。
スターとしての重圧に押し潰され、性的マイノリティの苦しみに苛まれ、真実の愛を見つけようともがく人物を見事に演じ切ったと思います。

本作をただのドラマではなくミュージカル映画にしたのも正解だったと思います。
エルトン・ジョンというとんでもない人物のあらゆる感情を普通のドラマとして2時間の尺で描くのは難しいでしょう。
誰の人生にとってもめちゃくちゃ重要なあるイベントをほんの十数秒で終わらせてしまったのには思わず笑ってしまいましたが、同時にミュージカル映画であればこそできる演出だと思い感心しました。

なかなか重たい内容で後味が爽やかな訳でもないのでボヘミアン・ラプソディほど気軽には観られませんが、折に触れて気合を入れて鑑賞したい映画です。
伝記映画としてもミュージカル映画としてもよく出来ているのでそんなにエルトン・ジョンに興味がないという人も一見の価値ありです。
多分一曲くらい聴いたことのある曲があるはずです。

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